社会人からテニュア大学教員へ

40代で大学教員に転職したぽんこつ博士のブログです。研究・教育の世界に興味のある方へ情報をお届けできればと思っています。

新型コロナに思う②

感染者が増え、連日報道が続く新型コロナについてまた書きたいと思います。

 

先日、2週間の検閲を終え、ダイヤモンドプリンセス号の乗客が帰宅を開始しました。

この2週間で多くの感染者が発生し、不幸にも死亡者も出てしまいました。

そして報道や野党議員たちは、隔離しているときは人権侵害、帰宅開始すると安全性が担保されていないとまくし立てます。

ウイルス陽性者は犯人かのように扱われ、アリバイ確認とばかりに行動パターンを晒されます。

  

新型コロナウイルスは確かに感染力は強いのは間違いと思います。

今後も確実に感染者は増えますし、今となっては感染源を探し出す行為も無駄だと思います。

なぜなら「本当の感染経路」=「感染者が見つかった順」ではないからです。

病院のような比較的閉鎖された空間であるならば、それも意味はあります。

院内感染という言葉がありますが、このときに対象となる感染症は病院でしか存在しないような特殊な感染症なので、院内感染と考えることができます。

市中で蔓延している感染症であった場合は、それが外から持ち込まれたのか、院内で伝搬したのか確認することはできません。

(↑実際にはPCRやパルスフィールドなどを利用することで推定は可能ですが、それを日常の医療に求めるのは非現実的です)

普段日常生活を送っている人が感染者となった場合、たまたま早くウイルスが見つかっただけであり、その人の足取りを追ったところで、感染経路の可能性の1つを挙げているに過ぎません。

 

感染制御は講じた対策による感染状況の差を時間が経過したあとに検証して初めて効果がはっきりします。

よって進行形の未知の感染症に対しては、有効な対策であるかを推測できるに過ぎません。

いま対策を批判をしている人は自分が傷つかない、単なる後出しジャンケンです。

本当に批判をしたいのであれば、感染地域に行って、ある限られた区域で自身の主張する感染対策を講じ、結果をみせるしかないです。

 

新型コロナが重症化する例は限られており、命を脅かすケースは背景にハイリスク要因がある方になります。

現時点では治療薬もありませんし、本当に必要なのかも分かりません。

学術的根拠のない社会的な要望のみで、貴重な治療や創薬マンパワーを浪費しないでもらいたいです。

 

従来のウイルス性の気道感染の大半は仮に診断ができても、治療薬のないものがほとんどで対症療法が中心です。

集団感染を疑ってPCR検査が必要だと判断された場合であっても、数名を抽出して検査を行い、あとは症状で感染状況を判断します。

しかし、報道が過熱するあまり、全例にPCRを求めたり、不顕性感染者を探し出したり、不安だけをあおっているとしか思えません。

市中感染なので、仮に一度陰性になっても、のちほど陽性になる可能性は十分にあります。

PCRが陽性の場合、感染しているといえますが、PCRが陰性でも感染しないとはいえないのです。

 

ちなみに以前流行したSARSの検査料金は保険点数450点(4500円)です。

ダイヤモンドプリンセス号の3000人を超える乗員乗客を調べただけで1400万くらいかかります。

実際には診察、治療も加わるので、もっと費用がかかります。

この費用を保険診療で賄い、本当に医療が必要な人の財源まで食い尽くしますか?

そして症状がない人は、保険診療すら対象になりません。

税金、自費、どれで負担しますか?

みんなが騒ぐから国民全員にやってみますか?(5000億超えますね・・・)

これから先、同じような感染症が出る度に、同じことをするのですか?

 

自然災害の復興、オリンピック、薬物乱用、虐待、経済など気になること満載です。

ゴーン被告の話は全く耳にすることもなくなりました。

にも関わらず、個人の匿名ツイートに過剰に反応したりします。

そしてみんなで一斉にバッシング、この風潮何とかならないでしょうか・・

薬物について

槇原敬之覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されました。

40半ばの私は前回の逮捕もよく覚えています。

知人の医療関係者は、思っている以上に薬物検査で陽性になる人がいるといいます。

それくらい違法な薬物が一般社会に蔓延しているということだと思います。

 

せっかく社会復帰して成功したのに、結局は田代まさしと同じように再び手を出してしまったようです。

個人的には薬物で捕まった芸能人が芸能界に復帰するのは納得できない部分があります。

芸能界は巨額な利権が絡みます。そのため、どうしても純粋に更生を支援だけにはみえないのです。

そこに甘い罠が潜んでいる気がしてなりません。

 

仮に自分であれば懲戒免職となり、復帰の道は完全に断たれます。

一般の勤め人であればほとんどがそうなると思います。

それまでどんなに努力しようが、才能があろうが関係ありません。

自分がお世話になった業界に泥を塗り、人間としての信用を失ったのですから、仕方ないと思います。

他人には迷惑をかけていないという人もいますが、それこそが自分本位な考えであり、薬物に染まってしまった思考だと思います。

 

一方、楽曲や映画など、過去の成果は残してもいいと思います。

過去に遡れば薬物に手を出した人の作品は山のようにあり、新型コロナ同様、言い出せばキリがないと思います。

作品の価値は時間の流れとともに自然と決まっていくのではないでしょうか。

 

槇原のファンだったわけではないですが、心のどこかで応援していただけに、なんだか空しいです。

新型コロナに思う

私はウイルスや感染症の専門家ではありませんが、過去に研究対象としたことがあります。

その中で思ったことは、調べだせばキリがないということです。

ウイルスの本態解析、感染力、症状、検査法、治療法の研究、感染経路の解明や感染制御法の確立、気になることがてんこ盛りです。

様々な対策を講じている医療機関でもアウトブレイクが頻繁に起きるにも関わらず、一般の人を巻き込んで、これらを進めるとなると不可能です。

必ず自分は関係ないとルーズな人はいますから・・(それが悪いという意味ではないですよ。それだけ価値観に多様性があるということです)。

 

じゃあ、どうすればいいのか?

現状では過度にウイルスを怖からず、対症療法をしっかりとするしかないのではないでしょうか。

不幸にも高齢者を中心に、免疫力が低下している人は、新型コロナに関わらず、インフルエンザや感染性胃腸炎で亡くなる人もいます。

原因不明の感染症で重症化する人もいます。

しかし、よく考えてみて下さい。これら感染症も大半の人は症状が出なかったり、軽症で済みますし、自然に治っていきます。

それくらい普通に生活している人の免疫力は高いのです。

過信はよくありませんが、過剰に医療機関に殺到すると、本当に医療を必要とする人への対応が遅れます。

感染症は新型コロナだけではありません。これからも新しいウイルスが出現する可能性も大いにあります。

このような中、不顕性感染(症状がない感染)まで必死に探したり、やみくもにPCRを実施したり、対象者を隔離したりするのはいかがなものでしょうか。

 

病原体やがんなど、僅かな異常を見つけ出すのも大変ですが、もっと大変なのはあなたには何も怪しいところはありません、「シロ」ですということです。

というか現実的に不可能です。世の中の人も内心は気付いているはずです。

 

新型インフルデング熱、RSウイルス、ロタウイルスなど、マスコミは何かが流行り始めるとやたらと強調して一斉に報道を始めます。

しかも、感染経路の解明と銘打った犯人捜し、対応の不備など、後出しジャンケンで批判しまくりです。

天気、不倫、桜を見る会も同様、どこの番組も同じ論調でまくし立てるのは何なんでしょうか?

 

論点がずれてしまいましたが、新型コロナの陰で重大なニュースが目に触れず埋もれないことを祈ります。

ひっそりと再開

こんにちは。ぽんこつ博士です。

 

一度、ブログを休止してましたが、身の回りが落ち着いてきたので、また始めることにしました。

休止している間も当ブログを訪れてくれた方に感謝申し上げます。

 

再開にあたり、過去の記事を少しまとめて再掲載したいと考えています。

マイペースな更新となりますが、どうぞよろしくお願いします。

面接までの期間と選考結果報告

 今回は他ではあまり見かけないテーマということで、教員公募時の面接について書きます。

 

 以前に書かせていただきましたが、私の戦績は応募26、面接5、採用2になります。なので、21回書類審査落ちと言うことになります。書類審査の結果が届くまでの期間は本当にまちまちで、公募締切後1週間くらいで届くものもあれば、何ヶ月も経ってからきたものもありました。連絡方法の大半はお祈りの手紙でしたが、連絡が早いときはメールでいただく場合もありました。

 メールで審査落ちの連絡をもらったのは地方国立大学でしたが、なんと公募先の教授から直々に届き、「今後の活動もあると思うので、早めに結果をお知らせした方がいいと思いメールさせていただきました。」と書かれていました。後にも先にもこのような連絡をいただいたのは1校のみですが、個人的にはこのような気遣いができるボスの下で働きたい思いを強く持ちました。

 今回のお題とした「面接」ですが、これまで呼ばれた5校を振り返ると、締切後1~6週後に全てメールでいただいていました。連絡の中で、日程調整が可能であったものは2校で、他の3校は日時が指定されていました。面接の内容が気になるところだと思いますが、それは別の機会で書かせていただこうと思います。面接時間はいずれも30~45分くらいでした。

 面接が終わってから、選考結果が届くまでの時間は5日から3週でした。但し、3週かかったときはゴールデンウィークを挟んだので、実質2週と考えてもいいと思います。採用時の連絡手段はメールで、不採用の時はお祈り書面が届きました。1校だけ選考結果が電話連絡となった大学がありますが、見事に不採用だったので、非常に気まずい思いをした経験もあります・・。いずれにしても、面接まで進んだ場合は、比較的早めに連絡が来ると思って間違いないと思います。ネットでは当日や翌日に連絡がきたという書き込みも見かけますが、一般的に採用内定は教員選考委員会の決議と教授会の承認が必要ですので、即日連絡は人事の権限が特定の人に集約している大学じゃない限り難しいのではないかと思います。

教員公募について考える②

大学教員の求人は、一般に公募という形が取られ、「JREC-IN Portal」(以下、JREC)というサイトに掲載されます。

もちろん通常の就職と同じように、知り合いの伝手や一本釣りで選ばれることもありますが、それはまたの機会に述べたいと思います。

 

JRECでは勤務地、研究分野、職種別に公募の出ている大学等、研究機関の一覧をみることができます。

また検索条件を指定して、自分の希望する公募を探すことも可能です。

ユーザー登録をすると、検討フォルダに気になる公募を保存したり、検索条件を記録したりすることができるので、今後の検索活動が楽になると思います。

私はこれまでの習慣から、今でもほぼ毎日チェックしています(笑

 

各公募には大学名や所属に加え、様々な公募要件が記載されています。

具体的には専門分野、担当科目、職位、着任時期、任期の有無、待遇、締切などが記載され、さらに応募に必要書類などの応募方法が詳細に書かれています。

これらをみて、自分がここぞと思う大学を探し、応募書類を作成して送ることになります。

 

公募にエントリーすると、通常は書類審査が行われ、数名の候補者に絞られた後、面接が行われます。

そして、全てをクリアすると晴れて大学教員として採用されます。 

 

このような流れは、一般の求人サイトを経由した就職と似ていると思われますが、大学教員公募ならではの部分がありますので、注意点を挙げていきたいと思います。

 

① 専門分野

応募する大学を決める上で最も重要な部分ですが、厄介なことに大学によって書かれている内容がまちまちで、ざっくりしたことしか書いてない場合もあり、本当に求めている人物像がつかめないときがあります。

そのため、必ず該当する学部・学科・研究室のHPを確認し、研究内容、教育方針および教員配置を確認した方がいいです。

自分の研究分野が大学で行っている研究分野に近く、かつ既存教員と研究内容が重複していないことがポイントです。

あまりに研究分野が違えば敬遠されますし、かといって研究内容がかぶっていると多様性・発展性という面でデメリットとなってしまいます。

 

また年齢構成も大切です。特に同じ大学に残りたい場合はポストが空く時期なども考えた方がいいでしょう。

既に若い准教授や教授がいる教室では、自分が昇格することは難しい場合があります。

(准教授や教授が異動して、ポストが空くこともあるので一概にはいえないですが・・)

 

② 担当科目

これには全力で要望に応えるしかありませんが、複数科目が記載されている場合、どの科目が主軸となるのかは感じ取った方がいいでしょう。

オプション科目ばかり強いだけだとインパクトが弱くなってしまいます。

 

③ 着任時期

ある程度フレキシブルに対応してくれる場合が多いと思います。

 

④ 任期の有無

文科省は人材を流動化させ競争する環境の方が、良い研究成果が期待できると考えているので、任期ありの公募が大半です。

中でも助教は3~5年が多いのではないでしょうか。准教授や教授でも任期が設定されている場合があります。

ここで重要なのは再任条件だと思います。

再任なし、1回に限り再任あり、5年ごとに再任審査など、大学によって様々です。

3年で再任なしの助教の場合、2年目には次のポストを探し始めると思うので、現職で落ち着いて研究や教育が行いづらくなります。

なので、せめて5年、可能であれば再任可能な公募の方が精神的にいいです。

反面、条件が厳しい公募は、応募する人が少ない傾向にあります。

競争率が下がり、採用される可能性が高くなるという一面があるので、ブランクをおかずに研究・教育歴をカウントしたい人は考える価値はあると思います。

 

⑤ 待遇(給与・休み・福利厚生)

個人的には、大学教員の公募で最も一般常識と乖離していると思われる部分です。

裁量労働制ということは理解していますが、とにかく応募時点で給料が分かりません。

年俸制が多くなっている現在、退職金もないところが多いでしょう。

夏季休暇や年休、その他の福利厚生も不透明です。

大学教員になれるだけで満足でしょ。給与等の待遇は実際に勤めたら分かるよっていう感じです。

 

引越を伴う赴任の場合、先に住居を決める必要がありますが、一体家賃にどこまで捻出できるかはっきりしないまま契約することになります。

交通費もどこまで支給してもらえるのか分からないです。

これって企業なら完全にブラックですよね・・・

 

自分の例をあげますと、40半ばの国立大助教で年収600万でした。

中にはまあまあじゃんと思う人もいるかもしれませんが、平日は14時間、土日も毎週6時間ほど大学にこもり、帰宅後も作業を行っていました。年間340日は大学にいたと思います。

地方公務員だったときは週休2日で年収800万(残業月60~80時間:10~20時間程度サービス残業あり)だったことを思うと、明かに公務員時代の方が働きやすかったです。

 

ちなみに知人の私大准教授は、時間は比較的余裕があるものの、40歳で年収450万と言っていました。

有名私大ではそこそこよい給料がもらえる大学もあるようですが、個人契約なので人によってかなり差があるようです。

 

何が言いたいのかというと、大学教員という仕事は、博士号を取得するまでの学費・労力・時間、加えて就職状況を考えると、それほど割に合う給料・待遇とはいえないのが事実です。

既に家族のいる人の場合は、しっかりと人生設計を立てる必要があります。

 

⑥ 応募書類・応募方法

ほとんどの大学で履歴書、研究業績一覧、教育・研究に対する抱負、主要論文別刷が必要となります。

履歴書、研究業績一覧は大学独自の書式でまとめる必要があります。

雛形がWordのときもあればExcelのときもありますし、年号表記が和暦であったり、西暦であったり。

そして極めつけに、研究業績一覧では、論文タイトル、筆頭著者、連名者、責任著者、雑誌名、発行年、ページ数、査読有無、インパクトファクター等々を1つ1つ指定された表記方法で記述する必要があります。

同じ業績一覧でも大学によって書式が違うのでコピペができず、非常に時間がかかる作業となります。

機械的な作業となるので、応募を考えているときは、早めに作った方がいいです。

 

教育・研究の抱負は大学のHPをチェックして求める人物像を想定して書くようにして下さい。

研究や学生教育に尽力し、大学の発展に貢献したいことを自分の背景を絡めて書くといいと思います。

自慢話は厳禁ですが、教育手法や研究成果において、唯一無二のものがあればしっかりとアピールすることも必要です。

(**を○○する××を初めて報告し、□□に対する新たな知見を見出した)等

 

また応募者の意見を求めることが可能な人物2名あるいは推薦書を求められることも多いです。

これが通常の就活にはない要素で、非常にやっかいです。

大抵、大学院時代の恩師にお願いすることが多いと思うのですが、何度も公募に挑戦するようになると、そのたびに頼むのが心苦しいこと、心苦しいこと・・・

 

ここで注意点が1つあり、1つの公募に対して同じ人物からの推薦書は1通が原則です。

そのため、既に同じ公募に自分以外の人が推薦書を書いてもらっていた場合は、他の人に推薦書を頼む必要が出てきます。

推薦書には教授クラスの名前がほしいので、先約に取られないよう早めに依頼した方がいいでしょう。

 

応募書類一式を揃えたら、送付状を忘れずに添えて、指定の方法で送ります。

簡易書留やレターパックなど、追跡ができる方法で送付することが多いと思います。

応募時の封筒に「○△□大学助教 応募書類一式在中」などと朱書きすることが求められるのですが、夜間に何度も応募すると同じ郵便局の人に発送をお願いすることもあり、何だか気まずかったです・・・

相手は何も覚えてもいないと思うんですけどね

 

色々思い入れもあり、長文になってしまいました。

ネガティブな面が多く感じたかもしれませんが、大学教員は何ものにも代えがたい魅力的な部分があるのも事実です。

具体的に教員公募を考えている人であれば、恐らくその魅力を感じていることと思います。

私自身、アカデミックな世界の入口に立ったに過ぎませんが、何かの参考にしていただけると幸いです。

教員公募について考える①

大学教員をテーマにすると避けては通れないのが、一体どうやってこの職業に就くのか?ということではないでしょうか。

 

王道の流れとしましては、

① 博士号を取得する。

ポスドクとして研究実績を積みながら、教員公募に応募する。

③ めでたく採用。

こんな感じでしょうか。

文字で書くと単純明快なんですが、超凡人の私は「③採用」に至るまで、準備期間を入れると20年近くかかりました(^^;)

 

私の場合、学位取得後、教員公募にエントリーしまくった時期が非常に辛かったです。

日中、通常の仕事をこなしながら、陰でコツコツと応募を続けるのは精神的にかなり堪えます。

振り返ると、現在の職に就くまで、26校に応募し、面接に呼ばれたのが5回、そのうち採用に至ったのは2回でした。

今考えれば40過ぎで節操なく、よくやったのというが、率直な感想でしょうか・・。

 

次回は自身の経験も踏まえて、教員公募を掘り下げてみたいと思います。