社会人からテニュア大学教員へ

40代で大学教員に転職したぽんこつ博士のブログです。研究・教育の世界に興味のある方へ情報をお届けできればと思っています。

新型コロナに思う⑤

 新型コロナPCR検査が保険適用となり、保険点数が1800点となりました(検体の輸送が必要な場合)。

保険点数は1点10円なので、18000円かかることになります。

当面は自己負担分も国が費用負担するそうです。

 

未だに「希望者全員にPCR検査を!」と言っているマスコミをみかけます。

国民の約半分5000万人に実施すると9000億円です。

経過観察にも実施すると、検査だけでも軽く1兆円を超えます。

確実に医療機関はパンクし、医療保険制度は崩壊です。

イタリアの例でも分かるように、やみくもに検査を実施し、症状に関係なく陽性者を医療機関に入院させれば、医療崩壊が生じ、必要な人に適正な医療を提供できない状態となります。

 

私自身、PCRはよく実施しますが、決して万能ではないです。

検査法自体の感度、サンプル採取状況、症状の有無など、結果に与える要因は色々あるので、「陰性=ウイルスに感染していない」とはならないのです。

これは簡易検査が開発されても同じことがいえます。

検査回数を増やせば精度は上がりますが、費用対効果を考えると、そこまで必要かということになります。

 

がんに置き換えると分かりやすいのではないでしょうか。

一般的な健診レベルでみつけられる無症状のがんはごく僅かです。

しかし、潜在的に細胞レベル、遺伝子レベルでがんを持っている人はたくさんいます。

感染症と異なり、がんは人に伝染することはありませんが、生命に関わる重さは非常に大きいです。

一部のがん健診は自治体によって無料で受けられる仕組みがありますが、人間ドックなどは基本自費で受診することになります。

それでも見つからないがんはたくさんあります。

がんも新型コロナのように、希望者全員の遺伝子を網羅的に検索して、必死に探し出すことがいいと思われますか?

がんは長い間、死亡原因第1位です。にも関わらず、現況はそのような検査体制を求める声はほとんどありません。

さらに遺伝的な脳血管障害リスクなど、生活習慣病を誘発しやすい要因も探し始めたらキリがないです。

また、仮にリスクがあると分かった場合、そのリスクを回避するために聖者のような健全な生活を続けられる人がどれだけいるのでしょうか?

 

今も連日、新型コロナ感染者や感染者のいた場所を特定し、無責任なコメンテーターの意見を付加して報道しています。

なぜ感染者数、症状、入院数、退院数やその比率を客観的に報道することはできないのでしょうか?

なぜ政府の批判など、ネガティブな報道ばかりするのでしょうか?

症状があっても申告せず、対症療法でしのいでいる人もいるのではないのでしょうか?

自分であれば、あれほどのバッシングを受け、行動歴を晒されるのを分かって、正直に申告できる勇気はありません。

 

世界情勢をみても、新型コロナに対する感染対策は必須といえます。

だからこそ、正直に申告しても不利益を被らないように不安を煽るような報道はやめてほしいです。